素材別の塗料選び|塩ビ(PVC)への塗装方法
― 密着不良を防ぐ下地処理と塗料選定の基本 ―
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建築現場では、塩ビ(PVC)素材は非常に多く使われています。
雨樋、配管、塩ビシート、巾木、化粧カバーなど、見かけない現場はほとんどありません。
しかし一方で、**「塗ったけど剥がれた」「数ヶ月で浮いてきた」**といったトラブルが多い素材でもあります。
その原因の多くは、塩ビ特有の性質を理解せずに塗装してしまうことにあります。
この記事では、
塩ビ(PVC)の特性 → 起きやすいトラブル → 正しい塗装方法
を具体例とともに解説します。
塩ビ(PVC)とは?塗装前に知っておくべき素材特性

塩ビ(ポリ塩化ビニル)は、軽量で耐水性・加工性に優れたプラスチック素材です。
建築用途では次のような場所で使われます。
- 雨樋・竪樋
- 給排水用配管
- 塩ビシート防水の立上り部
- 室内巾木・見切り材
塩ビの最大の特徴は「塗料が密着しにくい」こと。
その理由は主に3つあります。
- 表面エネルギーが低く、塗料を弾きやすい
- 成形時に使われた可塑剤が表面ににじみ出る
- 表面が非常に平滑で足付け効果が出にくい
この特性を無視すると、どんな高級塗料でも簡単に剥がれます。
塩ビに起きやすい塗装トラブル例
現場でよくある失敗は次のようなケースです。
ケース①:ウレタン・シリコンを直接塗装
「金属と同じ感覚」で上塗りをすると、
→ 数日~数週間でペリペリと剥離
ケース②:脱脂不足
見た目はきれいでも、
→ 可塑剤や離型剤が残り密着不良
ケース③:強溶剤塗料を使用
→ 塩ビが溶解・ベタつき・変形することも
塩ビは「塗れる素材」ですが、条件付きであることを理解する必要があります。
塩ビ塗装の基本工程【重要】
① 洗浄・脱脂(最重要)
まずは油分・可塑剤の除去が最優先です。
- 中性洗剤での水洗い
- アルコール・専用クリーナーでの脱脂
- ウエスは汚れたらこまめに交換
※ここを省略すると、後工程はすべて無意味になります。
② 足付け(目荒らし)
- #240〜#320程度のサンドペーパー
- 表面に均一な擦り傷を入れる
- 削りすぎて溶かさないこと
「ツヤを完全に消す」意識がポイントです。
③ 塩ビ対応プライマーの使用
塩ビ塗装の成否を分けるのが下塗り材です。
- 「塩ビ対応」「プラスチック対応」表記のあるもの
- 1液・2液どちらでも可(用途次第)
- 薄く均一に塗布
※万能プライマーでも塩ビ不可のものがあるため注意。
④ 上塗り塗料の選定
おすすめは以下の系統です。
- 弱溶剤ウレタン
- 弱溶剤シリコン
- 水性塗料(塩ビ対応表記があるもの)

店長
強溶剤塗料は原則NGです。
屋外・屋内での注意点の違い
屋外(雨樋・配管など)
- 紫外線による劣化を考慮
- 耐候性重視の上塗り
- 色あせ・硬化による割れに注意
屋内(巾木・カバー類)
- 低臭・水性塗料が有効
- 摩耗・擦れ対策を意識
まとめ|塩ビ塗装は「下地8割」
塩ビ(PVC)への塗装は、
**「何を塗るか」より「どう下地を作るか」**が結果を左右します。
- 脱脂を徹底する
- しっかり足付けを行う
- 塩ビ対応プライマーを使う
- 強溶剤は避ける
この基本を守れば、塩ビでも十分に耐久性のある塗膜は作れます。


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